飲食店で実施したいコロナウイルス3密対策

新型コロナウイルスの感染対策として密集を避けようということで「3密」という行動が生まれました。

密閉空間及び屋内屋外、職場、店舗での人の集まりを避けることで、飛沫感染を防ごうということですが、今回はその3密を店舗……特に飲食店でどう防ぐかを解説していきます。

3密とは

まずよく聞く3密とはどういった意味なのでしょうか。まずはそちらを把握することから始めましょう。

3密は「密閉・密集・密接」を指す言葉で、この3つを防ぐことが感染症対策につながるとして各自行動に気を付けましょうという対処方法です。それぞれ言葉毎に説明をしていきます。

①密閉

密閉とは主に屋内の密閉空間を指します。室内、乗り物などの大きさに関係なく、換気し辛く空気の流れが悪い場所は密閉空間となります。電車内、オフィス、研究室などもこれに該当します。

厚生省としては、密閉対策としては以下の様な対策が例に挙げられます。

1.風の流れを作り、2方向の窓を1回数分程度全開にすること。換気回数を毎時間毎(換気回数を毎時2回以上、30分に一回以上、数分間程度、窓を全開する。)など多めに取る事。

2.窓がないないしは換気が悪い場合、換気扇や送風機を併用する事。ビルの場合は、空気環境の調整に関する基準が満たされていることを確認するとよい。

3.エアコンは内気循環モードではなく外気モードに設定すること。

②密集

密集とは人が近い距離で集まった状態を指します。人数の多い少ないは問題でなく、人と人の距離を如何にとるかが重要とされています。最近ではソーシャルディスタンスと呼ばれています。

ソーシャルディスタンスとしては、以下の様な対策例が挙げられるでしょう。

1.人と人との距離を2メートル以上あける

2.座席は隣や近辺と1つ開けて座る。
また、なるべく正面に座るのでなく、互い違いに座る事が推奨されている。

3.座席の間隔を離し、人との距離が開くようにする。

4.店舗の入場制限を設け、人を多くいれないようにする。

5.通勤や会社での接触を減らすために、テレワークの導入を推奨する。
また、会議などではオンライン会議をメインとし、各自のデスクをパネル・パーティションで仕切ったり、その中からオンライン会議に参加する等、接触を極力減らす事が求められる。

③密接

密接とは人と近い距離にいることを指します。密接状態では飛沫感染、接触感染のリスクが高まりますので、その状態で会話や運動を控えることを推奨されています。
密接状態は主に学校、職場、公共施設、公共交通機関、店舗などで起こりうる為、特に注意が必要です。

1.対話をする場合には十分な距離を保ち、マスクを着用する事。

2.飲食店などで食事が終わった後に会話をする際には、マスクを着用する事。

3.パーティションなどでカウンターを区切り、人との距離を強制的に取らせる。

3密対策失敗例

3密対策の失敗例として、2020年11月に起こった長野県の例を見てみます。
このケースでは、『3密の会食』及び『換気不十分』により14人の集団感染が発生しました。
状況としては、店内が狭く、換気が不十分であったが、2度の会食が行われたことで集団感染へとなってしまいました。

また千葉県でも同様の集団感染が同時期に発生しています。

10代~60代までの30人が新型コロナウイルスに感染、場所はカラオケスナック店でした。この店舗では1人がコロナウイルスに感染しており、その状態で客同士の距離が近く、いわば3密対策が不十分であったために起きたクラスターでした。

以上の事から、3密状態のリスクが非常に危険であるという事が証明されたかと思います。

感染経路の確認

新型コロナウイルスの感染経路は主に3つです。

飛沫感染、接触感染、空気感染です。

飛沫感染とは、くしゃみや咳をしたり、声を発した際に飛び散った飛沫により、ウイルスが飛散。そのウイルスを取り込んでしまうことで起こる感染です。

対策としては、マスクとフェイスシールドによって飛沫を飛ばないようにすることです。

接触感染は、飛沫を受けた手やモノにウイルスが付着し、そこを触れた手で口や鼻を触ることで体内にウイルスが取り込まれておこる感染です。

対策としては、手洗いうがいを徹底し、物の除菌を行う事です。

空気感染は、空気中に舞ったエアロゾルを吸い込んでしまう事でおこる感染です。対策としては、空気という以上、呼吸を止めるわけにはいかない為、マスクと手洗いうがいで対策しましょう。

飲食店が出来る対策とは

では上記を踏まえて、飲食店が行える対策はどのようなものがあるでしょうか。

まず密閉状態では、換気を第一とし、日中はなるべく窓を開けておく事が確実と言えます。2窓以上開けて循環させるのが良いとされています。風通しの悪い店舗であればサーキュレーター(送風機)を併用し、風の循環を作ってあげると、効果的です。

ビル型店舗の場合は換気扇を駆動させ、常に空気が循環するようにしましょう。可能であればお店の入口のドアを常時開放しておくのも手ですが、セキュリティもあるので網戸を配置したり、常にカウンターに人を配置したりといった合わせた対策も必要です。

空気清浄機も有効です。業務用の空気清浄機を使い、ウイルスを吸い取ってしまうのも手です。但し、フィルターが汚れていると効果を発揮しないので、定期的に清掃して常に効果を発揮するように心がけましょう。

密閉状態を避けるため、テラス席を活用する店舗もあります。テラス席では屋外になるため、換気の心配がなくなるというメリットがあるからです。

とにかく重要なのは「常に空気を循環させておく」ということを念頭に置きましょう。

次に密集状態は、入場制限と座席数の制限を設けて人を多く入れないようにするのが大切です。座席の間隔を離したり、テーブル毎に空席を設けるなど、人が常に離れる状態を作っておきましょう。

また、ファーストフード店などカウンターで注文する方式の場合、外でメニューを予め渡して、1人ずつ入場させて注文を取ったり、各テーブル毎に端末を用意してリモート形式で注文できる仕組みを作っておくと密にならずに済みます。

バイキング方式の場合も、注文方式に切り替えるなどしたほうが、密集状態はかなり削減できますし、そもそもの接触感染リスクが削減できます。

他にも、店内感染予防として大部屋の使用を禁止したり、大人数での食事を制限したり、テイクアウトを推奨したりと、とにかく店内になるべく人を多く入れない方法を取るのが良いでしょう。

テイクアウト推奨であれば宅配注文(UberEatsなど)を活用するのも手です。

最後に密接状態の対策ですが、まずは店内ではなるべくマスクを付けてもらう事をお願いする事、そしてパーティションを導入し、カウンターやレジ周り、各テーブルを仕切ることで飛沫感染を予防することが大切です。

多くの場合、アルコールやマスク、検温は行っていても、カウンターやレジのパーティション、テーブルのパーティションは行っていないことが多く、依然として密接状態となりやすい環境となっています。

当然ですが、使用後は必ず消毒してください。

従業員が出来る対策

従業員側の対策も3密対策と合わせて行うことで、更に効果を高めることが出来ます。

まず飛沫飛散防止の為に店舗内ではマスクやフェイスシールドを着用し、大声を避けるようにします。
また、控室ではなるべく長時間留まることをせず、定期的な清掃と除菌を心がけ、常に換気を心がけます。
休憩中にもマスクを着用し、飛沫を予防しましょう。

従業員の健康管理も重要となります。
出勤時には必ず検温し、発熱や風邪の症状がみられる場合は、出勤を禁止するなどの措置が必要です。

レジなどの消毒を徹底、食券の販売機も消毒が必要です。

会計処理は電子マネーなどの非接触型決済を導入すると、衛生面で安全です。
現金を使用する場合は必ずトレーを使用し、直に受け渡しをしないようにしましょう。
当然ですがトレーも定期的に消毒が必要です。

ウイルスを持ち込ませないことも大切

店舗への入店時に入念な対策をし、店内にウイルスが充満しないようにすることも大切です。

入店時には手指の消毒を行い、検温を行います。
またマスクを着用して入店していただくことで飛沫をなるべく減らします。

それだけでは足らない為、入場制限を設け、1度に沢山の人がいる状況を作らないようにしましょう。
座席も広めに離し、感覚が近い場合は空席を設けるなど徹底しましょう。

念入りな消毒を

使用後は定期的な消毒が不可欠です。

ドア、カウンター、テーブル、椅子、トイレなど共用スペース、人が触る場所は常に清潔かつ除菌しておくように心がけましょう。
飛沫以外にも、手や物に付着したウイルスが伝染するので、物の消毒も欠かさず行いましょう。
出来ればですが、入店時にスマホも消毒していただくようご協力をお願いするのも手です。

スマホはトイレの便座より汚いと言われるほど、菌やウイルスが付着しており、コロナでなくとも食中毒の原因の1つです。
よってスマホの消毒によって店内に持ち込まれるウイルスが削減できます。

しかし、それでもやはりウイルスは付着してしまいます。

よって、持ち込んだウイルスを定着させないために、店内のウイルス除菌やコーティングを行う事を推奨します。

持ち込んだウイルスを付着させないようなコーティングを施工し、感染リスクを防止するのは最も確実といえるでしょう。

3密対策まとめ

では最後に今回ご紹介した3密対策をまとめてみましょう。

・3密は「密閉・密集・密接」からなる

・密閉対策では空気の循環を第一とし、換気を徹底する

・密集対策ではとにかく人と人を離すため、ソーシャルディスタンスを徹底する

・入店制限、席数制限などを設け、店内に人が多く入る事を回避する

・密接対策では人との十分な距離を持たせるため、パーティションを導入する。

・持ち込ませないための対策を心がけると共に、定期的な消毒を行う

・スマホの除菌も出来れば行う

・ウイルスコーティングの施工を行い、エアロゾルの付着を防ぐ

これらの対策を徹底したうえで、飲食店の営業を行うようにしましょう。
感染者増大につき、緊急事態宣言がこれから何度も発令されることが予想されます。
飲食店は最も打撃を受けやすい上に、店内感染が発生しやすいため、特に注意して対策を行いましょう。