コロナウイルスにフェイスシールドは効果はあるのか

新型コロナウイルス対策としてマスクを着用するようになり、もう1年が経過しようとしていますが、マスクの正しい知識を持って利用しているケースはまだまだ少ないように感じます。

今回はマウスシールドの効能についてを中心にご紹介していきます。

フェイスシールドは限定的な効果のみ

結論から言うと、フェイスシールドは「限定的」に効果を発揮するという検証結果となっています。

つまり、決定的な効果はないということです。

フェイスシールドの役割

そもそもフェイスシールドとは何のためにあるのでしょうか?

フェイスシールドは飛沫を防ぎながら、口元の表情を隠さないことでコミュニケーションを阻害することを防ぐ目的で使用されます。

フェイスシールドは主に口から直接飛散する「前方に対しての飛沫」を予防する、もしくは勢いをなくす、飛散する飛沫を減らすという効果です。

大事なのは「前方方向のみ」ということ。フェイスシールドは構造上、横や上下はがら空きです。

開放部分が多いということは、呼吸や会話によってそこからエアロゾルを吹き上げてしまう危険性をもっており、近距離で会話をする、人と接する場合には飛沫が飛ぶので”危険”となります。

当然ですが、くしゃみや咳をすると開放部分から漏れます。

つまり、決定的な効果はないのです。

新型コロナウイルスは死の危険を伴う危険なウイルスであり、予防を第一優先とするほうが対策としては効果的です。よって、フェイスシールドのみを使用することは、予防措置として好ましくないと言えるでしょう。

フェイスゴーグルと併用すれば…?

中には、フェイスゴーグルと併用すれば良いという意見もあります。
しかしこれも一定の効果はあるが、決定的でなく不十分という結論になります。

確かにウイルスの感染経路は目・鼻・口という露出した粘膜組織が主であり、直接目に飛沫がかからないようにするというのは大切です。
しかし、マスクの真の目的は、ウイルスを吸い込まないことよりも、むしろ自分の吐き出す飛沫を相手に付着させないで感染経路を絶つことが目的ですので、マスクが疎かな状態でゴーグルをしても寧ろ無意味と言えるでしょうし、正しくマスクを着用していない方が近くにいらっしゃる場合、身体に飛沫を浴びてしまうことにもなるので、まずは全員が正しいマスクを着用するのが重要と言えます。

また、目からの感染で手にウイルスが付着した状態で目を擦ったり触ったりすると、目から体内にウイルスが親友するという事例が病院などで注意書きされています。
その手に付着するウイルスは主に口から吐き出される飛沫が付着したものとなります。
よって、マスクを第一優先として対策することが好ましく、ゴーグルはマスクをしたうえでの二次対策となります。

フェイスシールドとの組み合わせで使うという方法は決定的でなく、飛沫の飛散が増えるフェイスシールド+ゴーグルはやはり適切ではありません。

尚、病院によると
「新型コロナウイルスによる結膜炎では、充血、異物感、流涙、結膜浮腫、眼脂、耳前リンパ節腫脹、などの症状が報告されていますが、新型コロナウイルス以外でのウイルス性結膜炎、アレルギー性結膜炎をはっきりと見極めるのは困難といえる」
とされており、ウイルスが付着した手で目を触れるリスクはあると考えて貰った方が良いです。

よって、正しいマスク着用+ゴーグルの着用は適切な予防策と言えます。

また、フェイスシールドは一度着用したら、外すまでは触れないようにすることが正しいとされています。

飛沫防止の為にフェイスシールドの内側には飛沫とウイルスが付着しますので、定期的に付け外したり、触れたりするとそこから接触感染が発生します。
よって、フェイスシールドを着用の際はつけっぱなしにすることを推奨されています。

徹底防御するならマスク+フェイスシールド

フェイスシールドは顔全体を飛沫から防御するデバイスです。
よって、マスクと併用すれば効果は高くなります。

まずフェイスシールドのみの場合、飛沫シミュレーションでは開放部分からくしゃみによって飛沫が漏れ出し、周囲に飛散してしまう事がわかっています。
また、開放部分からウイルスが侵入してしまう事も考えられるので、やはり前方のみの防御能力しか持ち合わせていません。

しかし、マスクと併用した場合はかなり効果が高まると言えます。

マスクは正しく着用すれば、自分のくしゃみや咳で飛散する飛沫を最小限に抑えることができ、吸引するウイルス量も減少します。
飛散量が減るという事は周囲に飛沫が飛び散り、手や物に付着することが減るという事につながり、接触感染や二次感染の予防につながります。

次に、フェイスシールドをマスクの上から着用すれば、万が一飛沫が少量漏れ出したとしても、対面した方から、もしくは周囲から顔に受ける飛沫を最小限に抑えることが可能です。

また、注意喚起されている目からの侵入も、フェイスシールドを着用することで不用意に目を触らなくなるので、感染防止につながります。

以上から、フェイスシールド単体では効果は限定的であり危険性も伴うが、マスク+フェイスシールドという二重防御ならばフェイスシールドの使用は十分考えられると言えます。

防護具の種類と特徴

コロナ対策として様々な防護具が発売されていますが、フェイスシールド含め充分に性能を確認せずに使ってしまうと、効果を発揮できないうえに、危険性も生まれてしまいます。
ここではフェイスシールドに近い防護具の性能を比較して、要所ごとに使い分けられるように知識を付けておきましょう。

フィルム交換保護めがね

フィルム交換保護めがねのメリットとしては、軽量で、通気性がよく、安価で、汚染時に交換しやすいというメリットがあります。
欠点としては固定が弱く、着用中の行動が制限されることです。
総評としては軽量で安価だが、下方や側面からの飛沫感染を受けやすいという性能になります。
また、口元にシールドがないため、マスクがないと飛沫を受けますし、くしゃみなどで飛沫を拡散させてしまいます。

フェイスシールド付サージカルマスク

次にフェイスシールド付サージカルマスクですが、メリットとしては着脱が楽という点です。
顔全体を覆うため、フィルム交換眼鏡よりも防護性能は高めになっています。
欠点としては、シールドが曇りやすく、重量があることです。

フェイスシールドタイプ

次はフェイスシールドタイプです。
メリットとしては、通気性が良く、眼鏡を着用してても使いやすいという点が挙げられます。
前面のシールド面積が大きいため、飛沫を顔に受ける心配が減ります。
一方で欠点としては、安価でマスクも付いているフェイスシールド付サージカルマスクのほうが汎用性も手軽さも高い点、下方からの飛沫を受けやすい点、なにより、くしゃみなどの飛沫を横や下方から漏らしてしまうため、思っているほど効果が得られないという点が挙げられます。

ゴーグルの解説もしたので、ゴーグルの比較もついでにご紹介していきます。

保護めがねタイプ

主に目の部分のみを覆うタイプです。このタイプは装着感に優れており、通気性がよく曇りにくいというメリットがありますが、固定力が弱く、隙間が多いので正面以外からの感染に弱い作りとなっています。

ゴーグルタイプ

ゴーグルタイプは固定がしっかりしており、全体が密着するのでウイルスを完全にシャットアウトします。
また、花粉シーズンにも活躍するので、花粉症の方はそのまま使う事ができます。
ただし、欠点としては曇りやすく視界が狭くなりがちで、重量感があることです。
また、モノによっては眼鏡との併用ができないので、眼鏡常用者には使い勝手が悪いものもあります。
眼鏡OKの花粉症対策ゴーグルもあるので、そういったもので密閉するのが良いと思います。

フェイスシールドタイプ

最後にフェイスシールドタイプですが、通気性が良いため、眼鏡を付けていても使いやすいという点があります。
シールドの形によっては側面や下方にカーブしているため、防護はかなり有効です。
ただし見た目が大げさになったり、若干邪魔に感じることもあります。
また、医療用途での使用が多いのか、普段使いとしてはあまり見かけないので、防護能力の高い製品は入手に難があるかもしれません。

以上がそれぞれのタイプごとの特徴となります。
用途に合わせてタイプを選んで利用しましょう。

フェイスシールドの手入れ

フェイスシールドは飛沫を防御する上で、内部にウイルスが付着してしまいます。
そのため、次に使う際には一度洗浄して使う事が推奨されており、厚生省のPDFに洗浄方法が記載されています。

1.まず手袋を装着し、フェイスシールドの内側、そして外側を丁寧に拭くこと。

2.アルコール又は0.05%の次亜塩素酸を浸透させたペーパータオル・ガーゼ等を使用し、拭き取る事。

3.アルコール又は0.05%の次亜塩素酸で消毒した場合には、充分に水やアルコールで拭き取り、残留物を取り除くこと。

4.清潔なタオルなどで吸水し、乾燥させること。

5.手袋を外し、手袋の消毒と手指の戦場を行い、衛生管理すること。

フェイスシールドはかなりの量のエアロゾルが付着するので、使用後には適切に衛生管理しましょう。

コロナ後のフェイスシールドの応用

新型コロナウイルスが収束した後、多くの方はフェイスシールドを使わなくなってしまうと思いますが、せっかく購入したのですから、フェイスシールドの使い道を応用していくことも考えてみましょう。

フェイスシールドは特性上、飛沫を予防する効果があるため、様々な場所で転用が効きます。
例えば、飲食店で使用すれば飛沫が料理などにかからない等の対策ができます。
季節性のインフルエンザやノロウイルスなどは毎年発生しますので、コロナウイルス終息後でも冬場に活用できるかと思われます。

また、教育現場では冬場に先生から生徒にウイルスが伝染しないようにしたり、大人数の会議で飛沫が飛ばない様にしたりと、季節性感染症対策に使うことが出来ます。

また、防塵マスクとして活用したり等、顔にモノが付着しないようにしたり、吸い込まない様にしたりといった活用も可能と思われます。

フェイスシールドのみはやめよう!

今回の内容をまとめますと、

・フェイスシールドは限定的効果しかなく、単体での運用は危険性がある

・フェイスシールド+ゴーグルでも飛沫飛散を防ぐことは難しい

・目からの侵入は飛沫を付着させないことが最優先

・正しいマスク着用+フェイスシールドならば飛沫飛散を防ぎながら付着も防ぐことが出来るので効果的

・正しいマスク着用を最優先としよう!

・使用後は正しい方法で洗浄し、使用時は容易に触れないようにしよう。

となります。
まずは安価で最も確実なマスク着用を正しくすることで、飛沫拡散を防止しましょう。
新型コロナウイルスはまだまだ死の危険を伴う危険なウイルスです。
相手の表情を優先するより命を優先することをお忘れなきよう、これからも徹底した対策を心がけましょう!