喫煙所の感染症対策。クラスター発生を抑えるために出来ること

新型コロナの対策に関して、空間除菌が大切ですから様々な対策が取られるようになってきました。
食事を提供する場ではお客様同士が向かい合わないように席を調整したり、アクリル板などで仕切ったり、あるいはテーブル同士を話すようにしたり、窓やドアを開けて空気の流れを作り出し続けたり、使用前後にはテーブルや椅子を掃除するなどです。

喫煙所はクラスター発生場所になり得る

それでは喫煙所はどうでしょうか。

実は、喫煙所はクラスター発生箇所になり得る危険性を孕んでいる場所と言えます。
健康増進法改正以来、喫煙は決められたスペースにて嗜むものとされ、様々な場所に設置されるようになりました。

喫煙室には喫煙専用室、加熱式たばこ専用喫煙室、喫煙目的室、喫煙可能室、野外喫煙所があります。
この中でも喫煙専用室には技術的基準が設けられており、以下の項目を満たす事が求められています。

  1. 出入り口において、室外から室内に流入する空気の気流が0.2m/s以上である。
  2. 煙草の煙が専用室から流出しないよう、壁や天井などによって区分けされている。
  3. 煙草の煙が野外、また外部の場所に排気される。

などです。

(1)の風速が喫煙室基準を満たさない場合、カーテンや扉などを設置れば対応することが出来ます。
しかしこれによって空気の流れが悪くなるのは明らかです。

また、野外喫煙所、特に駅前に設置された喫煙所などは非常に多くの人が密集しているのを多く見かけると思います。
野外喫煙所は天井が無く開けっぱなしであることが多く、一見換気が良いように思えますが人の密度が高い為、防疫的には良いと言えません。

 つまり、喫煙所はクラスターになり得るいうことです。

喫煙所の感染症予防を行う上での問題点

喫煙所の問題点を挙げてみましょう。

まず喫煙所は基本的に狭いことが多く、WHOの推奨するソーシャルディスタンス2mの距離を適切に保つのが難しいです。
米国科学誌「サイエンス」に掲載された論文によれば、空気の流れの悪い場所に置いてウイルスは数時間も空中にとどまり、空気の流れとともに2メートルの距離でも届くとしています。

次に、喫煙はマスクを外して行うため、感染拡大に最も効果的な原因となりえます。
不織布マスクを利用すれば高確率で吐き出し飛沫量、吸い込み飛沫量を減らせますが、喫煙においてはダイレクトに飛沫を吐き出し、また吸い込むことになります。

また、タバコ会議という言葉があり、タバコを吸いながら話をするという文化が少なからず見受けられます。
これはお酒の場のようにコミュニケーションを円滑にするものの一貫と思いますが、ウイルス対策的には非常に悪手です。

先述したように喫煙所は基本的に狭く、人と人の距離が近く、またマスクをする状況では無いため、大変懸念されます。

喫煙にはCOVID-19を予防する効果がある?

喫煙とCOVID-19についての誤った情報が一部メディアで報道されたようです。

曰く、喫煙者は新型コロナに強いとか、ニコチンにコロナ予防効果があるという報道です。
この主張は、新型コロナウイルスに感染した喫煙者は重症かしやすいという多くの疫学的調査に反しています。しかもこの主張は、専門家の査読を受けていない調査結果に基づいており、科学的点検に欠けたものです。

日本禁煙学会は喫煙にCOVID-19予防効果があるという言説には根拠が無いという論文を発表しています。
米国の疾病予防管理センターでは喫煙が呼吸器感染症リスクを増やし、免疫機能を弱め、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、心臓病、糖尿病をはじめとした慢性疾患を引き起こしているという確固とした科学的証拠が存在するという論文も多数掲載しています。

また、電子タバコが肺を傷つける事も証明されています。
したがって、紙巻きタバコ喫煙者も、電子タバコ使用者もCOVID-19によって健康を大きく損なう可能性があります。

喫煙する際に気をつけられる感染症対策

喫煙時にはマスクを付けっぱなしにする訳にはいきませんが、可能な限りウイルスと接触機会を減らす必要があります。

最初のポイントとして、まず喫煙中は会話をしないことが挙げられます。
人間は喋る際に一番飛沫が飛ぶ為、まずはこれが一番大切です。
タバコ会議で会社の重要な決定事項を話し合う企業がありますが、今は控えるようにしなければいけません。

次に短時間で喫煙を完了しましょう。
同じ場所に止まる時間を短くすることで、ウイルスに曝露される可能性を少しでも減らせます。
タバコを吸う直前まではマスクをし、吸い終えた後もすぐにマスクを着用するようしましょう。

また、喫煙前後のうがい手洗いも大切です。
新型コロナの主な感染源は目、鼻、口ですし、マスクの着脱時には必ずマスクに触れます。
喫煙する際には顔に触れがちですから、ウイルスを付着させないよう、喫煙前後のうがい手洗いは非常に重要なのです。

最後に、喫煙する際には出来るだけ喫煙所の物に触らないようにしましょう。
とはいえ灰皿や喫煙所の出入り口などのノブなどには触る機会が非常に多いので、気をつけなければいけません。

喫煙所での感染を防ぐ為に経営側が気をつけたいこと

一般的な企業において

一般的な企業においては喫煙所の1人ずつの使用、喫煙前後には空間除菌・換気のための時間を取ることです。
喫煙者の多い企業では大変かもしれませんが、十分なソーシャルディスタンスを取れず、強力な換気を行う事が出来ない場合はこれを遵守すべきでしょう。

また、触れる部分の消毒なども大切です。
タバコを吸う際には必ずと言って良いほど顔に触れますし、そもそも人間は気付かぬうちに顔に触ります。

アメリカの国立衛生研究所(NIH)によると、1時間当たり顔を触る回数は3.6回というデータがあります。
新型コロナの主な感染ルートは口、鼻、目であることから空気中のウイルスを吸い込まないよう空間除菌を行う事は勿論、触れる部分の除菌は一定の効果を望めます。

特に現代の会社においてはパソコンを使っての業務が非常に多く、とある調査ではパソコン作業中の人は5分間に1~3回も顔を触るというデータもあり、これを1時間に直すと12~36回となります。

これだけ顔に触るのですから、その手が喫煙所の様々な場所に触れ、ウイルスで汚染してしまったり、逆にウイルスを顔に付着させてしまう可能性があります。

また喫煙所には歩いて入らなければなりません。
歩くことで床やカーペットに付着したウイルスが舞い上がり、喫煙所に入った人間がウイルスを吸い上げてしまう事があります。
実際、2003年に報告された今回の新型コロナウイルスとウイルスの種類を同じくするSARS(重症急性呼吸症候群)の感染ルートの一つはカーペットでした。

それ故に、喫煙所を定期的な消毒がとても大切です。
喫煙される方に毎度毎度の掃除をお願いするのはとても大変ですから、持続的に除菌やウイルスの不活性化を期待出来る対策が必要です。
V-Shutは持続的な除菌やウイルスの不活性化が期待出来ます。
是非ご検討ください。